Miz牧師の説教庫

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詩篇10篇   悪者が栄えて

詩篇10編

悪者が栄えて

 

 

1 悪者のふるまい

 

人に対し

 10:1 【主】よ。なぜ、あなたは遠く離れてお立ちなのですか。

  苦しみのときに、なぜ、身を隠されるのですか。

 詩人はいきなり、主に対して叫びます。彼は悪者がやりたい放題にふるまっている現状を前に、神に叫ぶのです。正義の神はなぜこういうとき、遠くにおられるのですか?身を隠されるのですか?と。正しい者が悪者に追い詰められ、悪者はやりたい放題にやっているのを見て、彼は神はなぜ遠くで傍観していらっしゃるのですか?と問うのです。

 10:2 悪者は高ぶって、悩む人に追い迫ります。

  彼らが、おのれの設けたたくらみに みずから捕らえられますように。

 この世にあっては、しばしば悪者が栄え、義人が苦難にあうのはなぜか?という問いは、古来、正義にして全能の神を信じる者たちの頭を悩ませてきました。ヨブ記詩篇73篇などはその代表的なものです。

 

神に対し

 詩人の悪者の描写が続きます。悪者たちは正しい人間に対してひどいことをするばかりか、彼らはあろうことか神を呪い、また、あなどるのです。そして、「神などいるものか」と思っているのです。実に高慢です。

 10:3 悪者はおのれの心の欲望を誇り、貪欲な者は、【主】をのろい、また、侮る。

 10:4 悪者は高慢を顔に表して、神を尋ね求めない。

  その思いは「神はいない」の一言に尽きる。

 

 日々、いな時々刻々、太陽も大地も食物も空気も供給していただきながら、「神はいない」というのです。愚かしいほどに高慢です。

 

悪者の生態

 ところが、そんな悪者がいつも栄えているように見えます。その有様が5-11節です。

 10:5 彼の道はいつも栄え、あなたのさばきは高くて、彼の目に、入らない。

  敵という敵を、彼は吹き飛ばす。

 10:6 彼は心の中で言う。

  「私はゆるぐことがなく、代々にわたって、わざわいに会わない。」

 また悪者のことばの毒について述べます。

 10:7 彼の口は、のろいと欺きとしいたげに満ち、彼の舌の裏には害毒と悪意がある。

  そして悪者は悩む人、悪意をもって不幸な人を罠に陥れてさらに不幸にするのです。

 10:8 彼は村はずれの待ち伏せ場にすわり、隠れた所で、罪のない人を殺す。

  彼の目は不幸な人をねらっている。

 10:9 彼は茂みの中の獅子のように  隠れ場で待ち伏せている。

  彼は悩む人を捕らえようと待ち伏せる。

  悩む人を、その網にかけて捕らえてしまう。

 10:10 不幸な人は、強い者によって砕かれ、うずくまり、倒れる。

 そうして、悪者は神は見ていないとつぶやくのです。

 10:11 彼は心の中で言う。

 

  「神は忘れている。顔を隠している。彼は決して見はしないのだ。」

 そのことばをもって人を罠に陥れて不幸にし、そんな悪事をなしながら、「神はいない。いや、もしかしたら、いるかもしれないが、俺の悪事は見逃してくれるだろう。」・・・これが悪者の生態です。

 

.神への叫びと応答

 

 こうした現状を見るに見かねて、詩人は神に向かって声を上げます。立ち上がってください。貧しい者たちのために。

 10:12 【主】よ。立ち上がってください。  神よ。御手を上げてください。

  どうか、貧しい者を、忘れないでください。

 

 悪者があれほどやりたい放題に悪事を行ない、貧しい者を苦しめているのですよ。彼らは、神よあなたを侮っているのです。神はいない。もしかして神が存在したとしても、俺のことは追いかけてはこないさ、神は死んだ神だからね、という風に考える。

 10:13 なぜ、悪者は、神を侮るのでしょうか。

  彼は心の中で、あなたは追い求めない と言っています。

 

  しかし、まことの神はさばき主としてすべてをご覧になっているのです。正義の審判を神よ行ってくださいと詩人は言います。貧しい者、みなしご、悩むものを助けて悪者をくじいてくださいと。

 10:14 あなたは、見ておられました。害毒と苦痛を。

  彼らを御手の中に収めるために  じっと見つめておられました。

  不幸な人は、あなたに身をゆだねます。  あなたはみなしごを助ける方でした。

 10:15 悪者と、よこしまな者の腕を折り、その悪を捜し求めて

  一つも残らぬようにしてください。

 

 

3 審判への希望

 

 詩人は、悪者が栄え、正しい者、悩む者が苦しめられている現状を見て、いてもたってもいられず、神に向かって叫びました。正義の神よ立ち上がってください、と。そうして祈り叫ぶ中で、神がこの歴史全体の審判者であられることに思い至り、最後の審判においては、地のすべての権力者たちの国々は滅び失せるのだと確認するのです。

 10:16 【主】は世々限りなく王である。国々は、主の地から滅びうせた。

 10:17 【主】よ。あなたは貧しい者の願いを 聞いてくださいました。

  あなたは彼らの心を強くしてくださいます。

  耳を傾けて、 

10:18 みなしごと、しいたげられた者をかばってくださいます。

  地から生まれた人間が もはや、脅かすことができないように。

 

 詩人は最後の審判に究極の望みをかけるのです。今の世には不合理、不条理に見えることがしばしばあるでしょう。しかし、最後にはキリストが再び来られて、公正この上ない審判をなさって、帳尻を合わせてくださるのだという信仰です。終末に対する希望です。

 そのとき、「神はいない」「神がいても、見てはいない、見逃してくれる」などと勝手なことを言っていた悪者は、神から厳しい裁きをうけることになります。神を畏れ、それゆえにあえて貧しくなり困難な道を歩むものには、神は天来の報いを与えてくださいます。

 ですから、私たちは、目先の損得に左右されず、地にあって揺るぐことなく善をおこないたいものです。